「いのちをつくる~iPS細胞・ES細胞がかなえる未来~」を観た感想

いのちをつくる~iPS細胞・ES細胞がかなえる未来~(字幕版)を観た。

私は昔から理科や数学が苦手だ。

たしか生物学は高校の中間テストで5点をとった記憶がある。

(やる気がないにも程があるw)

5年前に山中教授がノーベル賞を受賞した際も、凄いと思いながらiPS細胞について調べてみようと思ったことは一度もなかった。

そんな私が見てみた。

幹細胞研究の最先端を走る科学者たちのインタビューに、美しい手描きのアニメーションによる解説を加えて、幹細胞研究の歴史と進化――体内の幹細胞を発見した初期の実験から、現在の最先端の科学的、臨床応用まで――を追う。

生物学の知識は皆無だが、アニメーションの解説がわかりやすかった。

素人にもわかりやすいように製作されていたが、それでも私の脳みそはついていけないところもあったので、[生命科学] ES細胞・iPS細胞まとめの記事を参考にしながら見た。

たくさんの人の研究が時代を経て繋がり、そこから山中教授の成果へと繋がったこと、常識を覆して自由な発想から成果を出した山中教授の凄さを今更ながら知った。

もちろん山中教授のみならず、開発研究チームのメンバーの融合も良かったのだろう。

「まず、24個の遺伝子をまとめて細胞に入れる。そして、1個ずつ遺伝子を取り去ってみて、万能細胞ができなかったら、それが必須の遺伝子のはずだ」。 このコロンブスの卵的発想に山中は「高橋くん、キミはホンマに賢いなぁ」と思わず褒めたという。24個まとめて入れるという「乱暴な」作戦は、生物実験の「シロウト」、高橋ならではのアイデアだったといえるだろう。

映画かドラマのワンシーンとして映像が浮かびそうな場面だ。

山中教授はノーベル賞を受賞する前の2007年には政府の態度に対して厳しい言葉を発している。

日本の幹細胞研究に対する政府の態度には2つ大きな問題がある。まず、一つの幹細胞に関する実験のたびに500ページもの書類3部を提出しなければならない。これを書くのに1カ月、さらに政府の審査に1カ月、これでは英国のライバルがその間10回以上実験できてしまう。本気で競争しようと思ったら、研究者を一人首にして代わりに事務員を2人雇わなければならない。だからほかの研究者が、公務員仕事の代わりに実験に集中できるよう、幹細胞を人工的に作る方法を見つけたんだ。 それから日本の厚生省の気の変わりやすさ。長期研究を短い期間に押し込めたり、十分な資金を与えずに放置したり。問題は、事務官の長が3年ごとに変わることだ。新しい人が来るたびに、科学研究に足跡を残そうと新しい予算を立ち上げるが、科学的な根拠はなく思い付きだけで、すでにある研究プロジェクト(どんなに成功していても)から予算を奪ってしまう。基本的に、3年でプロジェクトが完成できなければ、あきらめろということだ。

ちなみに日本医療研究開発機構 (政府の管轄下)のパンフレットを見ると、今年度の再生医療実現プロジェクトの予算は147億円だった。

上記のサイトを見ると、この分野の発展の必要性を切に感じる。

日本の研究員には世界と戦うためにやりやすい環境がもっと必要だ。

政府に頼るだけでなく、一般市民の私でも何かできることがあればやろうと思った。

今実現できなくとも、次の世代で花が咲けばよいではないか。

この映画を見て、STAP細胞で世の中を騒がせた小保方氏の指導役笹井氏の死がとんでもない損失だと知った。

(笹井氏は世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導に成功し、立体的な網膜を生成することにも成功している。)