「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」を読んでベーシックインカムについて考えてみた

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働を読んだ。

この本の筆者ルトガー・ブレグマン氏は、TEDで「全ての国民に最低限の生活を送るのに必要な現金(ベーシックインカム)を支給する」というスピーチを行い、注目を浴びたオランダの歴史学者だ。

ルトガー氏はこの著書で、

  • 全ての人間に“無条件”で生活に必要な最低限の現金「ユニバーサルベーシックインカム」を支給する
  • 労働時間を削減する
  • 世界中の国境を開放する

を提案している。

福祉を与えるのではなく、直接お金(フリーマネー)を与える

すでに研究によって、フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊娠、無断欠席の減少につながり、学校の成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらすことがわかっている。「貧乏人が貧乏である第一の理由は、十分な金を持っていないところにある」と、経済学者チャールズ・ケニーは言う。「ゆえに、彼らにお金を与えると、その状況が大いに改善されることは、驚くにあたいしない」

援助団体や政府が貧しい人々に贈る物、学校などは維持にコストがかかる。

そしてコストがかかる割に成果が少ないことが研究によってわかっているとのこと。

ルトガー氏は恩ではなく“権利”としてフリーマネーを支給し、当事者が自分にとって必要なモノを買うことが大事だとしている。

この恩ではないというのが非常に重要だと感じた。

また、フリーマネーの支給を実験した町の結果を見ると、入院期間やメンタルヘルスの悩みが減って町全体が健康になったとあった。

日本はこれから少子高齢化が進み、今のままでは間違いなく社会保障の支出は増え続けるだろう。

その穴埋めを消費税増税で解決しようとしている政府だが、日本もベーシックインカムの実験をやってほしい。

ベーシックインカムを支給することで社会保障の支出が削減できるなら、私はベーシックインカム導入に賛成する。

消費税を増税して経済を悪化させるよりは建設的だ。

貧しい人々は怠惰か?

それでも「貧しい人々は怠惰だ」という主張は、何度も持ち出される。(中略)ほんの、二、三年前一流の医学雑誌『ランセット』は、その結果を次のようにまとめた。貧しい人々は、フリーマネーを受け取ると、総じて以前より仕事に精を出すようになる、と。 「年収が保証されると、人々は働くのをやめて、家族を増やすのではないかと、政治的には懸念されていました」と、フォーゲットは言う。だが、実際にはまったく逆の結果になった。

記憶に新しい生活保護不正受給問題。

人気芸人の身内が生活保護を不正に受給して大ヒンシュクをかい、その芸人は5年経った今でも叩かれている。

当時、このニュースが出た時非常に腹が立った。

その後マスコミは生活保護に関する偏見や誤解ばかりを煽るような報道を続け、国民は生活保護に対してネガティブなイメージを持つようになった。

現在、一部の不届き者による生活保護の不正受給ばかりが注目されている。しかし、問題なのは、水面下で申請しようとしない、本来、救済されるべき人たちであり、彼らを追い詰めることによって、孤立死や餓死などを生み出しているのだ。他人ごとなのに「けしからん」と思うと、自分の“正義”を他人にも強要しようとする。そういう思いがあるのなら、まず自らが模範となる生き方を実践していくことが大事なのだと思う。 不正受給問題であたかも犯罪者扱い!? 生活保護受給者が脅える凄惨な仕打ちと悲惨な日常

生活保護だけでなくベーシックインカムにもネガティブな印象が持たれそうだが、そこはきちんと切り分けて考えたい。

フリーマネーを支給することで働かなくなる人が出ることを懸念されるかもしれないが、いつの時代も働かない人はいる。

それは個人の自由だし、実際にベーシックインカムが支給されても、日本人の気質(真面目、同調圧力)を考えると、全く働かないという人はそこまで現れないと思う。

私は今のところベーシックインカム導入には賛成だ。