経済は世界史から学べ!を読んだ。
歴史に疎い私は、同作者の世界史で学べ! 地政学を並行して読むことで、理解を深めることができた。
どうして国際通貨がポンドからドルに変わったのか、どうして政府に通貨発行権を持たせてはいけないのか(中央銀行の存在理由)、歴史をたどりながら世界のお金の流れを知ることが出来た。
この本は、
- 円・ドル・ユーロの成り立ち
- 世界経済と国際通貨
- 経済の自由化
- 投資とバブル
- 国家とお金
と、5つの章に分かれており、世界経済・日本経済についてわかりやすく書かれている。
どの章も面白いが、特に面白かったのが
- 海外のヘッジファンドと財務省と日銀の戦い(日銀砲)
- ユダヤ人両替商のロスチャイルド家の台頭とリスクヘッジ
- 江戸幕府5代将軍徳川綱吉の財務大臣(勘定奉行)の萩原重秀の財政再建
- 借金まみれの財政を黒字にした備中松山藩の山田方谷
- 日露戦争の資金調達のために戦った高橋是清
- 日本国債とギリシア国債の違い
- 日本経済と消費税の歴史(ちなみに私は経済が完全に回復したとは言えない現段階での消費税増税には反対)
実体経済がどういう影響を受けるか考えない理想主義より、現実から出発して試行錯誤して解決策を見出す政策に興味を惹かれる。
『お金は信用で成り立つ』ということがいかに大事なことか、この本を読むことで考えさせられた。
日本円や日本国債(日本という国そのもの)に価値を持たせるために奔走してきた日本政府、特に明治から昭和にかけての歴史はもっと勉強したい。
この本のあとがきに、
成熟した民主主義国家において、最終的に国の方向性を決めるのは学者や官僚ではなく、主権者たる国民であり、選挙を通じて国民が選んだ政治家です。国民の意識が高くなれば、それに応じた政治家が生まれます。衆愚政治に陥らないためには、国民の意識改革が必要なのです。
とある。
日本だけでなく、世界の歴史を踏まえて経済を知ると、ニュースも今までと違った視点で見ることができる。
政治家に限らず、マスコミやコメンテーターなどに過度に煽られないためにも、歴史と経済の知識は必須だ。
(そして一番大事なのはその知識を鵜呑みにするのではなく、自分の頭できちんと考えること。)