片桐はいりさんのグアテマラの弟 (幻冬舎文庫)を読んだ。
片桐はいりさんと言えば、『あまちゃん』『かもめ食堂』『シンゴジラ』など多くのドラマや映画に出ている個性派の役者だ。
私がファンになったきっかけは、『すいか』というドラマを見てからだ。
このドラマは大好きな作品で、DVDも持っている。
世のしがらみでガンジガラメになり、にっちもさっちもいかなくなり行き詰まっている30代半ばの信用金庫職員が、風変わりな人々が住む"賄い付き下宿"のハピネス三茶での出会いや出来事を通して、本当の自分を発見し成長してゆくドラマだ。
はいりさんは主人公の同僚の3億円横領犯を追う女刑事役だった。
出番はそんなに多くなかったが、印象的な風貌と演技に、私はすぐに虜になった。
普通の人ならコンプレックスであろう四角い顔も、ぱっつん前髪にボブのヘアスタイルにし、あえて顔の形を際立たせる潔さもいい。
そんな彼女には、グアテマラでスペイン学校を経営する弟さんがいる。
この本は、グアテマラにいる弟さんを訪ねた際のエピソードが書かれている。
役者は脚本家の書いた言葉を自分の中に吸収し咀嚼して演技で表現する。
「言葉」や「文章」に触れる機会の多い職業だが、演技の上手な人は文章の表現もうまい。
はいりさんの語るエピソードは、すべて映画やドラマのワンシーンのようだった。
長年の経験から、手っ取り早く自分の気持ちを伝えるには、動詞よりもまず形容詞から覚えたほうが早い、という裏技も使った。動詞はパントマイムで表現できるが、美しい、や、難しい、などの形容詞を体で表わすのは、ちょっと、難しい。
なるほど。
海外によく出向き、言葉の通じない人と接する機会の多い人ならではのコメントだ。
旅に出たくなった。