映画「人生フルーツ」を観に行った。
90歳の建築家のしゅういちさんと、奥様のひでこさんの物語。
たまたま読んだブログにこの作品のことが書かれていて、予告編を見たら惹き込まれてしまった。
名古屋近郊の高蔵寺ニュータウンの一隅で、雑木林に囲まれ自給自足に近い生活を営む建築家の津端修一氏と妻の英子さんの日常を追ったドキュメンタリー。阿佐ヶ谷住宅をはじめさまざまな団地などの都市計画に携わってきた津端氏が自ら手掛けたニュータウンに居を構え、時を重ねてきた二人の暮らしを通し、日本が失った本当の豊かさを探る。ナレーションを女優の樹木希林が務める。
以前からこのご夫婦に興味を持っていた母、趣味で農作業をしている親戚も誘って観に行ったが、じわじわと心に沁みる良い映画だった。
母と親戚の叔父と叔母は、祖母の残した畑でたくさんの野菜と果物を育てている。
できたての野菜と果物が毎日のように並ぶ食卓。
田舎生活の今が一番食生活が豪華だ。
東京で暮らしていた頃は、仕事の忙しさにかまけて、コンビニ弁当や宅配ピザやカレーばかりに頼っていた私の身体によく沁みる。
自分も将来は、細々とでも小さな庭で作物を育てたい、そう思わせてもらえる映画だった。
この映画の撮影中、しゅういちさんがお昼寝中に眠ったままお亡くなりになった。
その後のひでこさんの生活が気になったので、たまたま昨日発売されたきのう、きょう、あした。を読んでみた。
しゅういちさんの最後の仕事、精神科病院「山のサナーレ・クリニック」の完成を、この本でたくさん確認することができた。(映画ではエンドロールで少しだけ流れた。)
しゅういちさんはこの仕事を引き受ける際、「人生最後のよい仕事に巡り合いました」と語っている。
なんて幸せな人だろう。
そして昼寝をしたままあの世にいけるなんて、とてもとても羨ましい。
しゅういちさんはひでこさんに「人に依存しすぎないで、何でも自分で。こつこつやると必ず自分のものになるから。」と話しているが、この言葉は私にとても響いた。
本も映画も、どちらもとても素敵な作品だった。