モノやお金がなくても、豊かに暮らせる。―もたない贅沢がいちばんは、ヘンリー・ソローの森の生活 (講談社学術文庫)の言葉を中心に、【モノ】【金】【暮らし】【仕事】【自然】【生き方】で構成されている。
今から200年前の1817年、ヘンリー・ソローはアメリカで生まれた。
ハーバード大学を卒業後、小学校の教師や私塾の経営者になるが、塾を一緒に経営していた兄が亡くなってからは、一生定職に就かなかったフリーター。
27歳の時、自由にものを書く時間がほしいとモノで身動きとれない生活を捨て、ウォールデン湖の森の中に入り、自分で丸太小屋を作って2年2カ月ものあいだ自給自足の生活を送った。
(引用;https://www.massmoments.org/moment-details/henry-david-thoreau-spends-night-in-jail.html)
ソローは必要最低限のものだけ持って森に入った元祖ミニマリストでもある。
その行動の背景には、大量生産・大量消費社会の批判があったそうだ。
持つ必要のないものを手に入れるために働くことはない
必要以上に働くから、必要以上のものを持つようになり、さらに必要以上に働かなくてはならない。この悪循環を断ち切るために、まず必要以上のものを手に入れようとすることをやめる。
会社員時代、自分は何のために働いているのかわからなくなることがあった。
働いて、お給料が振り込まれて、ストレス発散やご褒美と称して高い食事やお酒を飲む。
会社に行くために高い洋服や靴、化粧品まで買って、特に食べたくもないランチやコンビニ弁当にお金を払う。
挙句ほとんど寝るだけの部屋に高い家賃まで払っている。
まるでハムスターが回し車の中を延々と走り続けている感じがした。
ある時、部屋の中で思った。
「これが延々と続いていく人生だと思うと、ぞっとする。」
出世するために仕事を頑張り、そして万が一出世したところでお給料は少しばかり上がるだけ。
世間体は良くなるかもしれないが、負担は増えるだけでちっとも幸せではない自分が見えた。
「私はなんのために働いているんだろう?」
セミリタイアした今は、圧倒的に消費が減った。(増えたのは本を買うお金くらいだ。)
貧しくなることを恐れて懸命に働くよりも、徹底的に金を稼がなくてもいい生活に切り替える。このことが、本当の豊かさに近づく方法なのだと、ソローは私たちに語りかけ続けている。
なにが幸せかは自分にしかわからない
誰かのものをほしがり、誰かの人生に憧れる。でも、花はどうでしょう。となりの花がもう咲きはじめているからといって、あわてて自分も咲いたりはしません。となりの花がきれいだからといって、自分も同じ色の花を咲かせようなんて思いません。ただ、自分の芽が出るのをじっと待って、与えられた色の花を咲かすだけです。人も同じでいいじゃないか。だって、自然の一部なんだもの。
時間に追われて仕事に疲れていた頃、老後にやりたいことがあった。
猫を飼うこと。
平日の昼からジャズを流し、甘いミルクティーを飲みながら本を読むこと。
時間ができた老後にやろうと思っていたことを、今は前倒しで叶えている。
人生で今が一番穏やかで幸せだ。
必要ない消費をやめれば、あくせく働く必要はない。