高校生の時、美女たちの神話 (講談社文庫)を読んだ。
美しい女性(ひと)が美しい人生を送るとは限らない。ヴィヴィアン・リー、イングリッド・バーグマン、マリリン・モンロー、グレイス・ケリー、シンプソン夫人、フランソワーズ・サガン、ココ・シャネル、エディット・ピアフなど15人の美女たちの愛と哀しみに彩られた生のドラマを華麗な筆で綴る。
10代の頃の私は、往年の大女優や作家たちの人生に憧れ、何度も何度も読み返した。
中でも一番興味を惹かれたのがシャネルの人生。
シャネルはフランスの田舎の孤児院で育ち、修道院でお針子の技術を学んだ。
そしてパリに出て、キャバレーで歌手の仕事に就いた後、数々の運命の男性と出会い、今や世界的なブランドとなったCHANEL(シャネル)を作り上げた。
服は毎日の生活のためにまずあるもの ー腕は上げられ、歩くのに自由であることー それがシャネルの考えの第一歩にある。 今日では全く当たり前の基本的条件だが、1910年代には、すべて正反対であったわけだ。腕は上がらず、歩くのももどかしく、しかも多くの無駄な飾りが、女の肉体の自由をうばい、女たちのおかれている社会的立場を如実に象徴していた。(中略)人形のような女ーそれこそがシャネルが一生を通じて忌み嫌った女である。
シャネルは、ジャージ素材を用いた動きやすい服や、当時紳士用だったツイード素材で女性がはくパンツを初めて提案した。
女性で男物のパンツをはいて外に出たのはシャネルが最初だそうだ。
当時喪服や制服の色だった黒を、リトルブラックドレスによってエレガントな色に変えたのもシャネル。
今では当たり前のファッションを、シャネルがスタイルへと変えた。
誰もやらなかったことに挑戦したシャネル、カッコいい。
モードではなく、あたしはスタイルを作り出したのです
凛々しくて美しいシャネル。
シャネルに憧れて買ったNo5の香水は、空になってしまったけど、今でも瓶は捨てずに飾っている。
誰もが15歳ではないわ。残念だし、そしていいことよ。だって、40歳から女はほんとの女性になるんだし、やっと着方がわかってくるんだから。あたしは恥じらいを持ったエレガンスをほんとの女たちのために戦い守るのよ。
シャネルのこんな名言を読むと、年を重ねるのも何だか楽しみ。