ばななさんの本を読むのはかなり久しぶりだ。
どのくらい読んでいなかったか調べるためにばななさんの作品一覧を見たら、かれこれ14年ほど読んでいなかった。
そんなに長い時間が経っているとは思ってもみなかったが、中学と高校の頃の私は、ばななさんの描く物語の世界が好きでたくさん読んだ。
キッチン、うたかた、哀しい予感、TSUGUMI、白河夜船、N・P、とかげ、アムリタ。
どれも好きな作品。
特に白河夜船の眠くて眠くて仕方のない主人公に、当時高校生だった私は自分と重ね合わせながら読んだ。
高校生の時の私は、(部活動もほとんどしていないのに)毎日眠くて眠くて仕方なかった。
眠り病かな?と思うくらい、授業中も家に帰ってからもよく寝た。
(勉強しなかったな~)
「TSUGUMIに出てくるつぐみ*1は私」と言っていたばななさん。
エッセイの中には「その話はどうなの?」と思うものもあった。
別に「いい人」である必要はまったくないのだけど、ばななさんの描く小説のスピリチュアルな世界やエッセイの感じに少しついていけなくなり、いつの頃からか本屋で見かけても手に取ることがなくなってしまった。
今回久しぶりにばななさんの本を読もうと思ったのは、以前読んだ槇村さとるさんの『50代は悩み多きお年頃』にこの本のことが書かれていたからだ。
両親の死、家族への愛情、友情とときめき、食と旅、小説家の秘密…『婦人公論』連載で人気を博した“幸せが見つかる”エッセイ集。
お父さま(吉本隆明さん)が亡くなられたのはニュースで知っていたが、お母さまも亡くなられていたのは知らなかった。
両親が同じ年に死んでしまってなんとも言えず冴えなかった時期でしたが、自分の書いている小さな幸せに自分が救われる、そんな気持ちで続けていた連載でした。
このエッセイを読んで、ばななさんが精神的、そして肉体的(インフルエンザに2回かかったり、中耳炎になったり)にとてもキツイ時期を過ごされたのを知った。
以前読んだエッセイでは赤ちゃんだったばななさんの子が、知らない間に大きな男の子に成長していたりと、なんだかずっと会っていなかった親戚のお姉ちゃんの話を聞くようで、読みながら一気に懐かしさがこみ上げた。
今よりもいっそう人を裁かないようになりたい。していることや、見た目、話していることだけでなにかを決めつけたりしないようにしたい。その娘さんたちはかなり奔放で口が悪いところもあり、きっと外でふつうに会ったら「こわい人たちなのかな?」と思ってしまいかねない私だからだ。
また久しぶりにばななさんの小説を読んでみたくなった。
2015年に筆名を「よしもとばなな」から「吉本ばなな」に戻したそう。
やっぱり「吉本ばなな」の方が私はしっくりする。