チュウチュウカナッコ

チュウチュウカナッコを読んだ。

以前読んだよしもとばななさんの本に出てきて気になっていたのだ。

チュウチュウカナッコ』と検索したら、なんとも味のある絵が出てきた。

(『チュウチュウカナッコ』という音の響きもいい。)

 70年代も終わり。そんな頃ーー
福々軒のウエイトレス、カナエカナコはコミュニケーション能力ほとんどゼロ。そんなカナコと、わりと人生下手、かもしれない人々による、ペーソスあふれるキュートなボンヤリ物語。
ヒネヤ商店街は、今日もにぎやか。

「わりと人生下手」。

なんて可愛い表現。

ということで、次巻であるヒネヤ2の8と併せて注文した。

簡単な内容紹介を読んだだけで、それ以外の情報はない状態で読み始めたのだけど、読みながら、「正直この本買ったの失敗だったかな~」と思った。

だって主人公のカナコちゃんがあまりにも切なくて、読みながら苦しくなってしまったから。

「読むの止めようかな?」なんて考えが頭をよぎりながらも読み進めると、だんだん面白くなって、いつの間にか「チュウチュウカナッコワールド」に引きずり込まれていた。

気がつくとヒネヤ2の8と併せて一気に読み終えていた。

読み終わったあとは、ほっこりした気持ちになった。

「カナコちゃん、めっちゃ可愛いわぁ、あんた今日はうちで晩御飯でも食べて行き~。」

近所に住んでいたらそう言ってあげたくなる女の子。

(まあ、私もカナコちゃんと同じで人見知りだから無理だと思うけどw)

 

あらいあき『チュウチュウカナッコ』 | ブック狂 | 青林工藝舎「アックスストア」/創作・オリジナル 同人誌専門店「サッシ」の取扱商品(漫画等)をレヴューする書評ブログ「ブック狂」

あとがきによると、中華料理屋でアルバイトをしていた経験から、当初は自らをカナコに投影していた部分があったものの、5年のブランクを経て執筆を再開した際には、「いい感じで距離が取れるように」なっていたとのこと。たしかに、中断後の6話目以降から新しい仲間が登場し、内省的な作風から賑やかな作風へとシフトしていきます。

いろんな人たちの助けを借りながら描き始めたことで物語の雰囲気が良い方向に変わったのか~。

5年間のブランクは、チュウチュウカナッコの世界を作り上げるために必要な時間だったのかもしれない。

あとがきにはギリギリ生活できるだけのバイトをしながらマンガを描いていること、貧乏だけど好きでやっているから苦ではないと書かれていたが、やっぱり好きで楽しくやっていることはいつか誰かに伝わるのだな。

それはもしかしたら自分が生きているうちではないかもしれないし、大人数の人ではないかもしれないし、食べていけるものでもないかもしれないけど、それでも私はいつか必ず誰かに伝わると思う。

(リードール)驚いたね。みつ編みどころかこの子は私をイジメてた女の子にそっくりだよ。あっみつ編みのままでいいよ。

(カナコ)あっそうですか。

(リードール)あっそうですかって。君にはないの?友達に無視されたり仲間はずれにされたり・・・

(カナコ)当時自分では気がつかなかったのですが、小中高と同級生からは仲間はずれだったようです。そして大人からは皆と仲よくとけこむよう注意されていました。

(リードール)ほう。どうやって克服したのかね?

(カナコ)たまに思い出すと嫌な気持ちになるので克服してないと思います。

(リードール)すべてを受け入れろと?

(カナコ)そういうのとも違います。そういうことがあったという、それだけのことです。

(引用 ヒネヤ2の8

→このカナコちゃん、めっちゃカッコいい!

 

作者のあらいさんは役者をしていたこともあるそうで、今も大人計画のHPにはプロフィールがあったので籍は置いているのかな?

新井亜樹 PROFILE | 大人計画 OFFICIAL WEBSITE

それにしても大人計画のメンバーは多才だな~。