モモを1日一章ずつ読み始めた(まずは第一部の感想)

円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。

初めてモモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)を読んだのは私が10歳の頃だ。

今でも大事に持ち続けている。

子どもの頃の私は、時間なんて永遠にあるように感じていたものだから、作者のミヒャエル・エンデが伝えたいメッセージなんてわからなかったと思う。

ただ書かれている表面上のストーリーを楽しんでいただけではなかろうか。

だって当時の私は、まさか10年後に自分の父親が死んでしまうとは思ってもいなかっただろうし、「人間はだいたい70歳くらいまでは生きるもので、まだまだ私にはたくさん時間がある」と思っていただろうから。

あれから30年経って読んでみると、(30年生きた経験のおかげで)エンデが伝えたいメッセージが本の中から浮かび上がってくる。

日本人の平均寿命は80歳を超えたけど、人間いつ死ぬかわからない。

時間は間違いなく大事な資産。

第一章 モモとその友だち

道路掃除夫ベッポ

主人公のモモには親友が2人いる。

そのうちの1人が道路掃除夫のベッポ。

ベッポは答える必要のない問いにはニコニコと笑うばかりで返事をしない。

だけど答えが必要な質問には、どう答えるべきか時間をかけて考える。

なので質問をした人には数時間、ときにはまる一日経っていきなり返答するので、周りからはおかしな人と思われている。

そんなベッポとモモはとても仲良しで、モモはベッポの言うことがよく理解できる。

モモはベッポが間違ったことを言わないようにしようとしていることを知っていたから。

彼の考えでは、世の中の不幸というものはすべて、みんながやたらとうそをつくことから生まれている、それもわざとついたうそばかりではない、せっかちすぎたり、正しくものを見きわめずにうっかり口にしたりするうそのせいなのだ、というのです。

友達や家族とおしゃべりするのは好きだけど、私は文章を書く方が好き。

書いた後に読み直しできるし、一呼吸おけるから。

言葉は時に暴力にもなりうる。

誰かを傷つけるつもりはないのに、口から出た何気ない一言が誰かを傷つけることがある。

感情に任せて暴言を吐く人・書く人を見ると、自分はそうならないように気をつけようと思う。

観光ガイドのジジ

モモのもうひとりの親友が観光ガイドのジジ。

ジジはガイドの資格もないのに観光客をつかまえてはあることないこと説明してお金を稼いでいる。

観光ガイドだけでは生活できないので、あれこれと他の仕事にも手を出すジジの夢は、いつか有名になってお金持ちになること。

しかしジジは少しばかりいい暮らしをするために自分の命や魂を売る気はない。

自分は自分のままでいたいと思っている。

周りの人には、ジジの語る話をインチキ話と笑われることもあるが、それに対するジジの返答が

詩人だってそうじゃないか。詩人に金をはらう人たちは、むだに金を捨てるって言うのかい?詩人からちゃんとのぞみどおりのものをもらってるじゃないか!それにさ、学者の書いた本に出てくるか、こないかってことに、そんなにちがいがあるかな?学者の本に出てくる話だって、ただの作り話かもしれないじゃないか。ほんとうのことは、誰も知らないんだもの、そうだろ?

本や映画を選ぶとき、私はAmazonなどのレビューは参考にせず、そして見ないようにしている。

評判の悪い本や映画でも、自分が興味があれば読むし観る。

自分の評価と世の中の評価が一緒である必要はないし、それで自分が名作だと思えるものに出会うチャンスを逃すなんてバカバカしい。

Amazonのレビューもどこまで信じていいかわからないし、ネットの情報だって、テレビの情報だって、それこそ本に書かれていることさえ、どこまで本当で嘘かわからない。

(ちなみに私が通った大学の教授は、「テレビの取材に答えたコメントを自分たちが言いたい意見になるように編集して都合の悪い部分はカットされた。テレビや新聞が伝えることが全て正しいと思ってはいけない。」と言っていた。)

自分が読んで・観てどう感じるかが大事で、そこに損得の概念はない。

www.j-cast.com

 

モモは全部で二十一章で構成されているので、私は1日一章ずつ読み進める予定。

(一章だけなら少しの時間で読める。)

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」(中略)「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」(中略)「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。」