先日村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』をめくりながら思った。
「村上さんの本に出てくる食事を食べたい」
そこで以前手放した村上レシピ (ゴマ文庫)買い戻し、改めて読み直すことにした。
小説は目で読んで楽しむものですが、村上さんの小説はそれだけにとどまりません。食事を作って舌で楽しむこともできるのです。村上春樹はおもしろいだけではなく、おいしいのです。
スパゲティ―
この本を最初に買ったときはまだ一人暮らしをしていたので、スパゲティのレシピを参考にたまに作ったりした。
「たらことバターのスパゲティー」や「ハムのスパゲティーとモツァレラのサラダ」、「トマト・ソースのスパゲティー」。
どれも簡単なレシピでシンプルなメニューだけど美味しくて好き。
村上作品に出てくる「僕」は、ことのほかスパゲティーを好む。僕にとって、スパゲティーはひとりで食べるために、ひとりで作る食事。
調教された野菜
五反田君と娼婦たちと過ごした晩から数日後。朝から紀伊国屋で「調教された野菜」を買い込み、エド・マクベインの87分署シリーズを読んでいる。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
改めて読むと、『ダンス・ダンス・ダンス』の「調教された野菜」って表現すごいなぁ。
紀伊国屋のスーパーの野菜って感じがするもの。
(当時紀伊国屋の青山店の最寄り駅から2駅ほどの所に住んでいたので、私も村上春樹作品の主人公を真似て買ってみるかとお店に入ったけど、あまりに高くて何も買わずにお店を出たw)
人生で一番美味しかったロースト・ビーフ
ユキにまっとうな食事をさせなくては。ホールホイートのパンで作ったロースト・ビーフのサンドウィッチ。味に勢いがある。そして新鮮なミルク。
『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくるロースト・ビーフのサンドウィッチはとても美味しそうだけど、私が今まで食べて一番美味しかったロースト・ビーフは友人が作ってくれたものだ。
2年前にサンフランシスコ(の少し北に位置するバークレー)に住んでいる友人を訪れた際、振る舞ってくれたロースト・ビーフがあまりに美味しくて、未だにその時の感動が忘れられない。
アメリカのスーパーで売られているお肉はどれもビッグサイズで驚いた。
ホット・ケーキのコカ・コーラがけに挑戦
「鼠」の家を初めて訪ねる。資本家の大きな家。五月のやわらかな日ざしが眩しい。テーブルを外に出して鼠は好物を食べている。鼠は焼きたてのホット・ケーキが大好きなのだ。問題は、彼が「それを深い皿に何枚か重ね、ナイフできちんと4つに切り、その上にコカ・コーラを1瓶注ぎかける」こと。この不気味な食べ物について「食事と飲み物が一体化している」のがいいと鼠は言うが。
風の歌を聴け (講談社文庫)
この本を最初に買った時、試してみたいと思いながら実現できなかった「ホット・ケーキのコカ・コーラがけ」に挑戦することにした。
4枚焼いたが半分母が食べたいと言うので、1枚をコカ・コーラをかけて、そしてもう1枚はバターとメープルシロップをかけて食べることにした。
「鼠」のように何枚か重ねるでもなく、コカ・コーラも1瓶全部ではなく1枚浸るくらいの量をかけて食べてみた。
どちらも悪くない。
というか、好きだ、この味。
今度からホット・ケーキを食べるときはこの2パターンを用意しよう。