【書評】小林聡美さんの『散歩』を読んだ

散歩はひとりに限る。身軽な格好で、好きな路地を選んで、ふらふらウロウロするのは、かなり贅沢な行為だと思う。人ごみで息を止めれば、自分の姿形まで消えてしまうような錯覚は快感ですらある。この本は、そんなひとり散歩大好きなワタシが、ふたり散歩に挑戦した汗と涙の記録です。おまけに、対談。

(引用散歩 (幻冬舎文庫)

小林聡美さんは「やっぱり猫が好き」や「かもめ食堂」「すいか」など、私が好きな作品に出ている役者さんだ。

今回は森下圭子さん、石田ゆり子さん、井上陽水さん、加瀬亮さん、飯島奈美さん、もたいまさこさん、柳家小三治さんと東京や箱根を散歩しながら対談した散歩 (幻冬舎文庫)を読んでみた。 

石田ゆり子さん

迷惑かけていきましょうよ

動物大好き同士、石田ゆり子さんとの対談。

「全部一人でやらなくては」と思ってしまうゆり子さんに小林さんから愛ある一言。

いいんですよ、人は迷惑かけて、人に迷惑かけられて……。そうやって生きていくんですよ。大丈夫ですよ。迷惑かけていきましょうよ。

なんだか「すいか」に出てくる教授の台詞のよう(笑)

小林さんはいい感じに肩の力が抜けていていいなぁ。

私も小林さんやゆり子さんと同じく猫が好きで自身も飼っているので、猫や犬がよく登場するゆり子さんのインスタが好き。

ゆり子さんは文章も写真もお上手。

たまにアンチっぽいコメントもつくけど、上手にいなしたりスルーしている。

「さすが芸能界で個人事務所の社長をやりながら生き抜いているだけある」

と感心しながら見ているのだけど、この対談を読むと気が強くて、正義感が強いゆり子さんも垣間見えておもしろい。

意外とよく「何やっても許してくれそう」とか、「やさしそう」とか言う人もいるんですね、男性に特に。「そんなわけないじゃん」って。

そりゃそーだ(笑) 

あの……人のことを見てない、自分のことしか考えてない人とかが周りにいると、すごい気になる性分で、思わず注意しっちゃったりとか、知らない人なのに(笑)。

 意外!

もたいまさこさん

もたいさんは私が東京に住んでいた頃、とあるスーパーで一度だけお見かけしたことがある。

全身黒のファッションで、いつものように髪は一つに結び、カートを引いて一つ一つ野菜を手に取ってじっくり見て選んでいらっしゃった。

夜も遅かったので、スーパーにはそんなにお客さんはいなかったのだけど、もたいさんの気配を消す感じは凄かった。

(音を立てずにスーっと移動している感じ。)

パワースポットも占いもいらない

もたい:パワースポットとか占いとか言われてもさ、この年になるといらないわけよ。

小林:分かる分かる。私もだんだん必要なくなってきた。

これ、凄くよくわかる。

私も以前は占い(お金は出さないけど)をよく見たけど、今は全く見なくなった。

というのも「日日是好日」という言葉を知って、

「 常に完璧な毎日などないのだから、「損をしたから悪い日」とか「得をしたから良い日」ではなく、目の前のことに集中して、積極的に生きよう」

と思うようになったから。 

www.writetoforget.com

同じ目にあわせてやろうか

もたいさんは理不尽なことが一番駄目だそうで、子どもの虐待のニュースを見るとブチ切れるそう。

「同じ目にあわせてやろうか」(かなり低音で)って。(中略)地獄から呪うように言ってるけど。

私と一緒だ。

私も子どもの虐待とか動物の虐待のニュースを見ると、心の底から「同じ苦しみを味わって〇んでしまえ」ともっと酷いことを言ってしまう。

弱い立場の者に卑劣なことをする人間は許せない。

長生きするのが怖い

もたい:だから私が、病院に行きたくないのはそれなの。健康診断とか精密検査とかしたくない。

小林:え?病院行って、なんで長生きが?

もたい:だから、ほら。

小林:どこも悪いところないですよって。

もたい:じゃなくて。だから、手遅れで死にたいの、私。

小林:治療をされるのが嫌っていうこと?

もたい:そうそうそう。それでまた長生きするのも嫌なの。 

これもよくわかるなぁ。

なんかもたいさんの対談は共感する部分が多い(笑) 

otona-stylemag.com

小林さんはいい年の重ね方をしていて、好き。