モモを1日一章ずつ読み始めた(第二部の感想)

 

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第二部を読み終えたので、ひとまずその感想をまとめる。

第二部ではついに時間泥棒の灰色の男たちが登場する。

灰色の男たちにそそのかされて大人はお金は稼ぐが時間に余裕がなくなり、心の余裕もなくなっていく。

その異変にいち早く気づいたのは大人に構ってもらえなくなった子どもたち。

モモや子どもたち、モモの親友のベッポとジジは大人たちに注意するため、「みんなの時間が灰色の男たちに盗まれている」などとメッセージを書いてデモ行進をするが、大人たちは気付きもしない。

灰色の男たちの正体(人間の時間を盗むこと)を見破ったモモは灰色の男たちに追われることになるが、みんなの時間を司るマイスター・ホラのいる時間の国へ無事逃げることに成功。

第二部は第一部に比べストーリー性が濃くなっていくので、どんどん物語の世界に引き込まれる。

時間泥棒、灰色の男たち

人間に「時間を貯蓄して増やせる」とそそのかし、その時間を盗んで生き延びる灰色の男たち。

見た目はスキンヘッドに灰色のスーツ。

灰色の葉巻を吸って人間に気づかれないように町に溶け込み、人間の財産(時間)に手を伸ばす。

(海外ドラマ『フリンジ』の監視人に似ているのだけど、このドラマはモモに影響されたのだろうか?)

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(引用https://www.tvgroove.com/powerpush/fringe/news.html

うまく丸め込む

「するとむだになった時間はさらに、五千五百十八万八千秒。もっとわたしにはわかってるんですが、あなたは毎週一回、映画に行く。それに毎週一回、合唱団の練習に出て、週に二回、行きつけの飲み屋に行き、あとの晩は友だちと会ったり、ときには本さえ読む。ようするにあなたは役にも立たないことに時間を浪費して、それがしかも一日になんと三時間、ぜんぶで一億六千五百五十六万四千秒ー気分でもおわるいんですか、フージーさん?」

こんな具合に灰色の男たちは、大人たちにいかに無駄な時間を過ごしているか計算をして見せる。

そしてその時間を節約し、時間貯蓄銀行に預けると利子までもらえると言う。

大人たちはその口車に乗せられ、灰色の男たちにどんどん自分の時間を盗まれていくのだが、誰も気づかない。

お金は稼ぐけど…

毎日、毎日、ラジオもテレビも新聞も、時間のかからない新しい文明の利器のよさを強調し、ほめたたえました。こういう文明の利器こそ、人間が将来「ほんとうの生活」ができるようになるための時間のゆとりを生んでくれる、というのです。(中略)

きみの生活をゆたかにするために━━時間を節約しよう!

けれども、時間はこれとはまるっきりちがいました。たしかに時間貯蓄家たちは、あの円形劇場あとのちかくに住む人たちより、いい服装はしていました。お金もよけいにかせぎましたし、使うのもよけいです。

(中略)時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。

作者のエンデは『モモ』を通して先進国に警笛を鳴らしている。

私はこの文章を読んで、以前観た『写真家ソール・ライター急がない人生で見つけた13のこと』を思い出した。

(この時のブログを読み返したら、『モモ』を読み直したいと書いてある。)

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退屈をお金の消費で解消する社会

「わかったかね、かんたんなことなんだよ。つぎからつぎへといろんなものを買ってくれば、たいくつなんてしないですむんだ。でもひょっとするときみはこう思うかもしれないね、完全無欠なビビガールにありとあらゆるものがそろってしまう日がくる、そうしたらやっぱりたいくつしてしまうかもしれないって。だがね、その心配はないんだよ!つまりね、ビビガールには、おにあいのなかまがいるんだ。」

知り合いに会社や家庭のストレスを買い物で発散する人がいた。

その人は着ない洋服をたくさん買ってストレスを発散するのだけど、買った時点でもう満足しているので、開封されない洋服がたくさんあった。

そしてまたストレスが溜まったら「たくさん買う→家に物が溜まる」を繰り返す。

お金の消費だけでは、心が満たされることはないとその人を見て思った。

その人は「考えること」がストレスになるので、「私はもう考えないんです」と言っていた。

私はそれを聞いて唖然とした。

(考えることを放棄するのは死ぬことと一緒だと思う…)

以前読んだひろゆき氏の『無敵の思考』に、「楽しさや幸せをお金を使うことで感じる人は一生幸せになれない」とあって、その通りだと思った。

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次はついに最後の部。

こちらも少しずつ読み進める予定。