【書評】羽生竜王の金言

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上記の記事を読んで、久しぶりに羽生善治さんの本を読み返したのだけど、どれもやっぱり良くて、ブログに残すことにした。

直感力

見切る

長く考えればそれだけ思考が深まっていい手が指せるのか、いい決断ができるのかというと、必ずしもそうではないような気がする。将棋の世界には、「長考に好手なし」という言葉もある。長く考えたからといっていい手が指せるわけではないのだ。むしろ、長く考えているのは迷っているケースが多いからで、創造的に考えていることは少ない。

(引用直感力 (PHP新書)

「長考に好手なし」という言葉って奥が深いなぁ。

ある程度考えたり調べたら、まず行動に移す。

失敗したら次に活かす材料にすればいい。

大変革は必要ではない

「変革が大事」「変化を求める」といったことが喧伝される。しかし、いきなり大転換してしまったら、たいていはうまくいかない。時間をかけ少しずつ、少しずつ歩幅を変えていきながら、たとえばそれが二年、三年という時間を経たときに、全然違うかたち、違うものになっているというのが、一番スムーズでリスクも少ないのではないかと思うのだ。

(引用直感力 (PHP新書)

少しずつ、少しずつ積み重ねて変えていく方が確実。

しかしそれには注意が必要で、羽生さんもおっしゃっているけど、方向性を見誤らないことが重要。

そして、その方向性を見極めるのが一番難しい(笑)

決断力

追い込まれる

将棋は自分との孤独な戦いである。追い込まれた状況からいかに抜け出すか。追い込まれるということはどういうことか、でも、人間は本当に追い詰められた経験をしなければダメだということもわかった。逆にいうと、追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ。

(引用決断力 (角川oneテーマ21)

一回沈んで、落ちたからこそ反動つけて、今まで以上に上昇できることもある。

自分が持っている以上の力を引き出すためには、極限まで追い詰められる状況も必要。

リスクをおかせ

リスクを避けていては、その対戦に勝ったとしてもいい将棋を残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとっては大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。

 (引用決断力 (角川oneテーマ21)

人生の決断や、勝負事でも、リスクをとらなければいけない場面はくる。

羽生さんは、そういうところでの決断にその人の本質が出ると本の中で語っている。

同じ情熱を傾けられることが才能

やっても、やっても結果が出ないからと諦めてしまうと、そこからの進歩は絶対にない。周りのトップ棋士たちを見ても、目に見えて進歩はしていないが、少しでも前に進む意欲を持ち続けている人は、たとえ人より時間がかかっても、いい結果を残しているのである。

(引用決断力 (角川oneテーマ21)

やり続けることこそが才能なんだろうな。

人生でそういうものに出会えたら、とても幸せなことだと思う。

大局観

情報は生鮮食品と同じ

情報や知識を集めたとしても、それだけでは大きな意味や価値を持たない、あるいはその価値は日々、下落を続けていると私は感じている。なぜなら、知識は実際に活用することによって、初めて意義を持つからだ。

(引用大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

情報や知識は使ってなんぼ。

安心して忘れるために、私はブログを書くのだ。

ツキにこだわらない

ツキを頼りにするのは、自分自身への信頼が揺らぎ、心が弱くなっている証拠とも言える。ツキという言葉には、人々を魅了してやまない何かがあるが、その深みにはまってしまわないよう、心を強く持たなければいけないだろう。むしろ、ツキにこだわらないぐらいの大らかさが、本当の意味での人間の強さなのではないかという思いが、最近、強くなっている。

(引用大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

羽生さんのおっしゃる通り。

迷いながら、強くなる

先を読む力

たくさんの手を読んでも実戦で読み筋通りに進むことはめったにありません。ですから、読みは徒労に終わってしまうことも多いのです。しかし、その徒労を繰り返さないと、読みの力が伸びないことも事実。また、その時には役に立たなくても次の対局で役に立つ時もあります。読みは思考の基礎の要で、ここが伸びれば判断力や分析力も向上するはずです。

(引用迷いながら、強くなる (知的生きかた文庫)

天才の羽生さんですら徒労に終わる努力を重ねているのか…

(徒労に終わる努力ができることも才能だなぁ)

いつも「半信半疑」ぐらいがいい

半信半疑という言葉がありますが、向上をしていく時に必要な状態というのは、こういう「半信半疑・疑い半分」という心持ちで十分だと思っています。「これでいい」と思いながらも、同時に「もしかしたら修正は必要かもしれない」と考えながら進んでいくことが、手応えはないものの堅実で逸れることなく前進ができる方法なのです。

(引用迷いながら、強くなる (知的生きかた文庫)

羽生さんはこの本の中で、「いつも自信を持っている人は、その人が不安を覚えることがないくらい簡単なことしかやっていないのでしょう」と語っていて、思わずクスッと笑ってしまった。

毒舌な羽生さんもイイ!

 

羽生さんの言葉はいつ読んでも勇気づけられるし、自分の中にスッと入ってくる。

私は将棋はやったことはないけど、羽生さんのことはいつも応援している。