【書評】『ユダヤ5000年の教え』を読んだ

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〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1)を読んだ。

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「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」を読んで、「タルムード」に興味が湧いたからだ。

タルムードってなに?

250万語、1万2000ページに及ぶユダヤ教の聖典『タルムード』。『旧約聖書』の解釈についてラビ(僧侶)たちがブレーンストーミングをした記録をまとめたものだが、ここにユダヤ教5000年のあらゆる知恵が凝縮されている。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1)) 

ユダヤ人は1948年にイスラエルが再建されるまで、1800年に渡り国土を持たず、世界中に散らばり、異国で迫害を受けながら生き抜いた民族。

優秀な人間が多いと言われるユダヤ人にとって、国家や国旗、軍隊も持っていない過酷な環境で頼れるものは「知性」「知識」「知恵」だった。

「タルムード」は、そんなユダヤ人が5000年に渡って蓄積した知恵の集大成。

ユダヤ人は長い間家を焼かれ、土地を奪われ、財産を没収され、国から国へと追われた。そこで、ごく最近まで、ユダヤ人の子どもは、幼いときから母親に、「世の中で一番大切なものは何か?あなたが生きている限り、人があなたから奪えないものは何か?」と聞かれ、「お金」とか、「ダイヤモンド」と答えると、「いいえ、それは知識です」と教えられてきた。私も、幼いころに母親からそう教えられた。ユダヤ人は、着のみ着のままで逃げるときに、もっとも大切なものは知識であることを長い歴史を通じて覚え込んだ。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1)) 

以前読んだ植松さんの本にも「なくなるお金でなく、なくならない知識をためる」とあった。

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私がユダヤ人と聞いて思い浮かぶのは、フェイスブックのザッカーバーグや映画監督のスピルバーグ、投資家のジョージソロス。

あとはアメリカ大統領トランプの娘婿クシュナー。

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ユダヤ人の人口は世界で1400万人ほどで、このうちの800万人がイスラエルに住み、残りは世界中に散らばっているそうだ。

長く「お金」について考えてきたユダヤ人

ユダヤには、キリスト教世界や、また日本のように"清貧"という観念はない。われわれユダヤ人は金銭を善とは考えないが、前にも述べたように、<お金は機会を提供する>とみなしている。人間はお金によって、多くの可能性を実現することができるのだ。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1)) 

「お金」に対する捉え方が、(いわゆる社会的な)成功者がユダヤ人に多い要因のひとつなのかな?

人間はお金の主人であるべき

お金は、善でも、万能でもない。善悪の判断は、主人である人間がするのだ。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1)) 

この言葉いいなぁ。

「お金」はあくまで手段であって、「お金」そのものに善悪はない。

お金は道具の1つ

人間らしいということは、お金に支配されず、お金を支配することである。人間は地上では、もっとも強い。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))  

この本では、キリスト教では「肉体」は肉欲の源泉、「お金」も同様、欲の源泉で悪で罪深いものだと考えられているとある。

反対にユダヤ人は「肉体」は精神の入れ物として大切にしなければならないが、「肉体」そのものが罪を犯すことはできないと考えており、同様に「お金」もそれ自体が良いこと、悪いことはできないと考えている。

その為、ユダヤ人はキリスト教のこの考え方を「人間の自信のなさ」と捉えている。

肉体やお金が人間より上にあるとみなして、肉体やお金が人間を支配できると思うからこそ、過度に怖れなければならないのである。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))  

"失われた時間"はお金では買えない

一生の間、人間が使えるもっとも貴重なものは、金銭ではない。時間である。というのは、『タルムード』は、人間は無限に金銭や富を手に入れることができるが、一生の時間は限られているからである。

 (引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))  

その通り! 

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"0から1へ"の距離は"1から1000へ"の距離より大きい

1000が欲しかったら、1を大切にしなければならない。一攫千金を狙ってはならない。1をつくるには、忍耐力が必要である。0から1をつくり、大切にすることを覚えれば、案外、1000をつくることは、やさしいのである。偉大な商人を見れば、みな0から1をつくることの大切さを知っている。0から1をつくるほうが、1から1000を生みだすよりも難しいことを知っている者のみが、1000、1万、10万、100万をつくることができるのだ。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))  

起業家精神とでもいうのか、 発明の分野でも多大な貢献を果たしているユダヤ人が多いのも、タルムードの教えが根底にあるからなのかな?

ホリエモンの本にも同じようなことが書いてあったな。

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「適度」ということを伝統的に教えられてきたユダヤ人

今日でも仕事ービジネスでも研究でもよいーのために、家庭生活や、人生の他の楽しみをすべて犠牲にしてしまうユダヤ人はいない。一つのことにかたよって、他のすべてを犠牲にするのは、ユダヤでは美徳ではない。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))  

この本によく出てくるが、ユダヤ教は「バランス」を重んじている。

何かに偏ることは良しとしない教えのようだ。

バランス、バランス、‥‥‥バランス。忘れてはならない。

(引用〈新版〉ユダヤ5000年の教え (小学館新書 と 6-1))