人の才能の開花は「環境」「努力」「運」「タイミング」が大きく影響していると思うけど、「遺伝」はどうだろう?
知能の使われ方の転機は大航海時代以降
丸い地球の裏側にある異なる土地に住む異なる風俗、異なる言葉、異なる宗教、異なる経済を営む人たちの文化が、なだれ込むように目の前に出現したのです。この遠く離れた見も知らぬ人たちの頭の中はどうなっているのか、この人たちと商売をするにはどうすればいいのか。頭を使わねばならなくなりました。幸いヒトの脳はそれをこなすだけの能力を備えていました。
産業革命以降、資本主義に突入し、かつて天才やエリート層にしか求められていなかった知的能力があらゆる人に要求されるようになった現代。
誰もが学べるようになった現代は、能力の個人差に遺伝の差がはっきり表れるようになったとこの本には書かれている。
共有環境、非共有環境ってなに?
共有環境とは、家族もしくは家族を類似させる効果を持った環境のことだそう。
非共有環境は家族以外、例えば学校や会社などの人間関係とも言えるけど、実際の共有環境や非共有環境がどうなっているのかは、一つ一つ掘り下げて検査をしなければわからないものだそう。
例えば、いたずらをして親に怒られている子供がいるとする。
その子にとってみたら、「理由も聞かずにいきなり怒る理不尽な親」と映るかもしれないが、その様子を見ていたその子の(一卵性の)兄弟にしてみたら、「怒るべきときはきちんと怒ることができる信頼できる親」と映っているかもしれない。
「同じ親が怒る」という環境も、2人にとっては非共有環境として働いていることになるそうだ。
遺伝の影響
音楽、執筆、数学、スポーツの才能に関しては軒並み遺伝の寄与率が80%を超えているそう。
精神疾患や発達障害も遺伝の影響が強く出るそうで、統合失調症や自閉症、ADHDについては80%程度が遺伝。
共有環境の影響が大きいもの
共有環境の影響が大きく見られるものは「物質依存」に関する調査だそう。
アルコールや喫煙、マリファナは特に影響が強い。
収入と遺伝の関係
収入に及ぼす遺伝の影響は30%。
しかし年齢で考慮すると、就職し始める20歳ぐらいのときは遺伝より共有環境の影響が大きいが、年齢が上がるにつれ共有環境の影響は小さくなり、かわりに遺伝の影響が大きくなるそう。
45歳くらいが遺伝の影響のピークになり、共有環境はほぼゼロだそうだ。
ただしこれは男性に限っての話だそうで、女性については既婚、未婚を問わず、収入に関する遺伝の影響は生涯にわたりほぼゼロのままだそう。
(女性は自分の潜在能力がまったく収入に反映されないという結果はなんでだろう?)
人間は年齢とともに経験を重ねていくわけですから、環境の影響が大きくなっていきそうなものですが、実際は逆なのです。つまり、人間は年齢を重ねてさまざまな環境にさらされるうちに、遺伝的な素質が引き出されて、本来の自分自身になっていくようすが行動遺伝学からは示唆されます。
この本を読むと、体重や身長などの身体的な要素も遺伝の影響がかなり大きいことがわかった。
私の髪の毛が細くて少ないのは、どうしようもないことなのね~。
だって、親や親戚を見渡しても、フサフサな人はいないもの(笑)