【書評】中谷美紀さんの『ないものねだり』

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現在TBSで放映されている「あなたには帰る家がある」のコマーシャルをたまたま見かけた。

画面には主演の中谷美紀さんが映し出されていたが、相変わらずお美しい。

ないものねだり (幻冬舎文庫)は、そんな中谷さんの美に少しでもあやかろうと10年以上前に読んだ本。

また読みたくなったのでもう一度買い直して読んでみたのだけど、これが予想以上におもしろかった。

(読み返してみると、中谷さんの食のこだわり、女性らしい動きを身につけるため茶道や日本舞踊を習っている話、ヨガや整体の話など、美しさにあやかる話題はたくさんあるのに、当時の私は読んだだけで満足したようで、結局何一つやっていなかった)

当時の私は美をあやかろうと思って読んでいたため、中谷さんの文才と美しい容姿から想像できないおもしろさを見逃していたようだ。

例えば、群馬県の人里離れた山奥で見掛けたトイレの話では、

「大便をしたら、必ず運転ボタンを押しましょう。ウンコがおが屑の中に消えます」。各個室には、写真と共に説明書きが張ってある。「小さなお子様は必ず保護者の方と一緒にお入り下さい」。 もしも子供が落ちたら、肥料になってしまうのだろうか?

(引用ないものねだり (幻冬舎文庫)

 

日本舞踊の会に出ることになったとき、

下ざらいの際には、ベテランのご婦人方からありがたいお言葉を頂戴した。「若い人はいいわねぇ、立ってるだけできれいだもん」。立ってるだけって‥‥。「そうそう踊りなんて上手けりゃいいってもんじゃないんだから、大事なのは存在感よ!」。グサッ!つまりは、物凄く下手ということらしい。いっそのこと幕が開いてから曲が終わるまでの24分間、初めのポーズで立ち尽くしてみようか?と思ったほどである。

(引用ないものねだり (幻冬舎文庫)

 

結婚したくない理由の大きな位置を便座問題が占めていると語る美紀嬢。

便座を上にしたままトイレを出る男性が許せないそう。

人様から見れば些細なことだろうけれど、実は、私が結婚をしたくない理由の大きな位置をこの便座問題が占めている。(中略)ところが、先日ある男性が使用後の便座が、必ず下げてあることに気づいて、胸がときめいた。トイレットペーパーを三角に折ってくれたのも、どうやら同じ人らしい。こんな人となら結婚してもよいとさえ思った矢先に、「アタシ大も小も座ってするのよね」と言われて目が覚めた。この人は、ネクタイに、なぜかハイヒールで会社に行くのだった。

(引用ないものねだり (幻冬舎文庫)

 

髪が細くて絡まりやすく、量が少ないためアデランスに駆け込んだこともある美紀嬢。

生え際の一部がほんのちょっと薄いらしく、撮影中ライトが当たると禿げて見えることもあるそう。

『電車男』の撮影中にも、電車内でのシーンで顔のアップを撮るのに、照明さんがたくさんの光を当て始めると、焦ったメイクさんがアイシャドウと筆を持って現れた。申し訳なさそうに、こっそりと耳元で「生え際ちょっと埋めていいですか?」と言うので、全く気にしていないことを伝えようと、慣れない2ちゃんねる用語のマネで「キターーッ!ハゲキター!」なんて言ってみたのが間違いのもとだった。視線を移した瞬間、生え際の隙間を埋めるメイクさんの肩越しに見えたのは、サザエさんのお父さん、波平さんのような髪の薄くなったエキストラの方だった。

(引用ないものねだり (幻冬舎文庫)

見た目の美しさとミステリアスな雰囲気からは想像できないおもしろさ。

ちょうどAmazonKindleが幻冬舎キャンペーンで50%ポイント還元やってるので、中谷さんが書いたインド旅行記も読んでみようと思う。

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