4月に初めて一人で海外旅行にチャレンジしたのだけど、英語がほとんど話せない私は、大変な思いをしてとても疲れた。
「やっぱり日本が一番!」
なんて思いながらも、時間が経つと
「もう少し英語ができれば楽しめたんじゃないか?」
と思う自分も出てきたのだから、疲れも完全に癒えたのだろう。
(→海外に旅立つ前に準備した私の「英語」に関してはこちら)
想定したシチュエーションの英語を一通り覚えて行ったまではよかったけど、現地の人が話す英語をほとんど聞き取ることができず、話す以前にリスニングが全くダメだということに、現地に行って気づく情けない有り様。
帰国したばかりの頃は、
「私には英語の才能はない」
「そのうち便利な翻訳機ができるだろうから今度はそれを持って旅に出る」
などと腐っていたのだけど、
「一度恥をかいたくらいで諦めるのも悔しい!」
と反骨精神がムクムクと顔を出してきた。
改めて勉強し直そうと思いネットで調べたところ、おもしろいブログを見つけた。
こちらのブログを書いているのがcozyさん。
アメリカで医学系研究員として2年間勤務された方だ。
cozyさんはアメリカ生活で英語ができず苦しんだ経験からブログを開設し、楽しく英会話を身につける方法を発信している。
ちょうどこのブログをまとめたものが書籍化されていたので買って読んでみたのだけど、この本がとてもよかった。
「リベンジしよう!」
と私の中で意欲が湧いてきた。
本当に必要な英単語は350個⁉
cozyさんがアメリカの大ヒットドラマ『SEX and the CITY(以下SATC)』のシーズン1~6合計2,700分間で使われた英単語数を調べたところ、全部で12,088個の英単語が使われていることがわかった。
この中の5,188個が1回、1,974個が2回登場。
(これを調べたcozyさん凄い…)
そしてこの単語を全て覚える必要があるのか更に調べると、「1度きりの単語に出会う確率は2%以下」ということがわかる。
何度も出てくるメジャー単語を完璧にマスターする
そこでcozyさんが導き出した仮説が、「1回しか出てこない単語を覚えるのではなく、何度も登場する単語を完璧に聞き取れるようにして、それを会話で使えるようにすること」。
cozyさんが分析したところ、『SATC』に10回以上登場した単語の数が1,896個。
(これは上位15%にあたる)
覚える価値のある単語は、この1,896個ということがわかるのだけど、動詞の過去形や過去分詞など別々に数えているので実際の数はもっと減るそう。
cozyさんが『SATC』の台詞を作る単語の内訳を更に調べると、1,000回以上登場する49個の単語が全ての台詞の半分を構成、100回以上登場する286個が全ての台詞の約30%を作っていたことがわかった。
『SATC』の全セリフの約80%がたった350個の単語からできている
(ちなみに全世界で大ヒットしたドラマ『FRIENDS』も分析したそうで、こちらも350個の単語が全体の約8割の台詞を作っていたそう)
この本には『SATC』頻出単語ランキングトップ350が掲載されているのだけど、中学校で習う簡単な単語がほとんど。
『SATC』の全セリフの60%以上は中学校レベルのシンプルな単語100個でできている
もちろん中学校で習わない単語も『SATC』の頻出単語に含まれているけれど、この本にはその英単語も掲載されているので勉強になる。
英会話学習がニュースより海外ドラマが向いている理由
僕自身、アメリカで働くことになったとき、まったく英語に自信がなかったので(特にリスニング)、日本で毎日NHKラジオニュースを聞くことを日課にしました。また、時間があれば英字新聞やインターネットの英語記事を読もうと頑張っていました。そしていきなり結論から言いますが、これらの学習はもう悲しいくらい、英会話の役に立ちませんでした‥‥。
これ、わかる。
私も旅行に出る前、1年ほどCNNやBBCニュースを見て英語を聞くようにしていたけど、ドバイやアメリカに行った際、現地の人が話している英語はほとんど聞き取れなかった。
cozyさんによると、ニュースは客観的事実という視点で述べられるのに対し、『SATC』のような日常会話メインの海外ドラマのセリフは主観的な視点の英語。
日常会話は「感情の動く会話」が繰り広げられるのであるから、「英会話を習得しようと思うなら『SATC』のような海外ドラマが最適」だそう。
何を使って英語を学ぶかという英語学習の素材選びは、日本にいながら英語を学ぶのであれば、本当に重要です。後で、詳しくお話ししますが、英会話を身につける最大のキーワードが「主観」です。私がどう考え、どう感じるのか。それを英語で言えたとき、初めて英語が自分のものになるのです。
シンプルな言葉こそが出発地点
cozyさんが英語を話せるようになる前と後で変わった考え方が、
- (前)5,000個近くの単語をひたすら暗記→(後)中学レベルの350個の単語+口語
- (前)難しい単語を使うべき→(後)基本的な単語を使う
- (前)ラジオニュース、新聞記事で英語の勉強→(後)『SATC』、『FRIENDS』などの海外ドラマを見まくる
ネイティブっぽくなくてOKだし、間違ってもOK。
小学生に戻った気分で、最初は変な英語をどんどん話して身につけていこうとすすめている。
目指すゴールは?
英会話は大きく分けても、リスニング、スピーキング、意志疎通の複合技術なので、まったくの初心者が1つの学習法だけでどうにかなることはまずありません。結局は、いくつかの学習法を組み合わせる必要があるのです。
学習法は人によって違う。
どれから始めればよいのかも人それぞれ。
cozyさんは「英語シャワー」「音読」「とにかく会話」という学習法を選ぶも、どれもうまくいかなかったそう。
それはなぜか?
英語との距離感
英語を頑張っているのに結果が得られないと感じているのであれば、英語との距離感がつかめていないか、やっていること自体が間違っているかのどちらかだというcozyさん。
私の英語力といえば、10年以上前にTOEICで650点とったくらいのもの。
実際に海外生活や留学経験があるわけでもなく、CNNやBBCニュースを1年見たくらいで、いきなりリスニング能力が上がるというわけでもない。
ではどうすればよいのか?
cozyさんはやみくもにいろいろな学習法に手を出さず、
- 英語との距離感を見極める
- レベルに合った学習法を選ぶ
- 段階的にやり方を変えながら、英語力を上げていく
を掲げている。
英会話に本当に必要なリスニング力は?
例えば、僕の文法や発音が変でも、ある程度のレベルを超えていれば理解してくれますし、僕が外国人だということもわかっているので、ヘンテコな英語を話しても何とも思っていません。しかしです、外国人だからという理由で、気を使ってゆっくり平らな発音で話してくれるなんてことは一切ありません。ゆっくり話してくれとお願いしても、「どこがゆっくりになったんや‥‥?」というぐらいに、それはもうやたらと速いのです。
これもわかるな~。
cozyさんがアメリカで英会話に苦しんだのは、英語をペラペラ話せなかったからではなく、相手に何度聞き返しても英語が早過ぎて何を言ってるか全くわからなかったからとのこと。
アメリカ人はリスニングは(外国人であることに関係なく)高いレベルを求めるけど、スピーキングはネイティブみたいにペラペラ話さなくても通じる。
ということは、目指すべきゴールは
「高いリスニング力+そこそこのスピーキング力」。
(私がこの本に共感した一番の部分がコレ)
どうして勉強しても英語が話せないのか?
どうしてネイティブの話す英語が聞き取れないのか?
長年抱いていた私の疑問も、この本にある可愛いイラストと気さくな文章でわかりやすく理解できた。
この本を参考に、英会話の勉強を頑張ってみようと思う。