イーロン・マスク 未来を創る男を読んだ。
この本は、イーロン・マスク本人やイーロンの周りの人にインタビューした内容を基に構成されている。
翻訳本は英語の表現が回りくどくて読みづらいものが多いけど、この本はそのようなことはなくてとても読みやすかった。
私がイーロン・マスクについて知ってる事といえば、ロケットを作ったり、電気自動車を作っているハードワーカーな男性という事くらい。
あとはジョニー・デップの元嫁アンバーの彼氏という下世話なゴシップくらいしか知らなかった。
(念のため調べてみたら、今はアンバーとは別れて別の彼女がいる模様)
この本を読んで分かったマスクを簡単にまとめると
- 映画『アイアンマン』のモデルはマスク
- 子供の頃はいじめられっ子
- 金銭的に裕福な家庭で育ったので、幼い頃より世界を旅をする
- 本をたくさん読む子供時代
- 南アフリカで生まれ育ち、大人になってアメリカに渡り金融系サービスのペイパルを起業
- 後にペイパルを売却して得たお金でロケット会社のスペースXや電気自動車のテスラを作る
- 不可能だと言われることをやってのけるが、ドSな性格故にアンチも多い億万長者
もちろんこの本には上記についての詳しいエピソードがたくさんあるので、興味のある方は是非読んでみてほしい。
私はこの本を読んで、マスクは自殺しないでよくここまでやってこれたなと感心した。
私はマスクにたびたび会っているが、本当にげっそりとしている姿を何度か目にしている。ひどいときは、何週間も眠れないことがあったという。ストレスで体重の増減も激しい。過労気味になると体重が増える。人類の生き残りに人生を捧げているのに、自分のライフスタイルが不健康の温床になっていることには無頓着なのだ。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
独善的で頭が良くて、強くて極端で、常に大きなリスクを背負いながら猛烈に働く男。
これくらい極端でなければ、ロケットや電気自動車の開発、他にもたくさんのことを同時に進めることはできないであろう。
厳しい危機に見舞われても集中し続ける能力は、たしかにマスクの強みに違いない。「普通の人間ならば、あれだけのプレッシャーにさらされたら、どこかで判断ミスを起こすでしょう。イーロンはそんな状況でも明快で長期的な意思決定が下せる人間です。難しければ難しいほど、彼は力を発揮するんですよ」
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
Thanks PayPal for allowing me to buy back https://t.co/bOUOejO16Y! No plans right now, but it has great sentimental value to me.
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年7月11日
ちなみにマスクは昨年、ペイパルの前身であるX.comを買い戻している。
(今のところ使い道はないそうだけど)
私がマスクに興味を持ったのは、今年の4月にサンフランシスコへ行った時のこと。
その時初めてテスラの車を生で見たのだけど、モデル3の無駄のないスタイリッシュなデザインが頭の中に残った。
Model 3 is Popular Mechanics’ Car of the Year https://t.co/k0a9c4X6Wq
— Tesla (@Tesla) 2018年3月28日
それから日本に帰り、マスクのトンネル掘削会社The Boring Companyが、シカゴのトンネル高速交通の建設を受注したニュースを見て一気に興味が湧いた。
Elon Musk’s Boring Company Gets OK To Build Chicago High Speed Tunnel | NBC Nightly News
(まるで映画の世界のようでカッコいい!)
今回はこの本とネットで調べた内容を基に、マスクについてまとめてみる。
父親とは不仲
マスクの父は有能なエンジニアで、子供たちには欲しいものは何でも買い与え、何度も海外旅行に連れて出た。
はたから見れば豪勢に見えるマスク一家だが、父のしつけは相当厳しかったそう。
父は子供たちを一方的に3時間でも4時間でも座らせて説教を続けるような人間。
もちろん口答えは一切許さず、厳しくしつけることに喜びを感じていたようで、遊びの時間まで取り上げていた。
マスクや弟のキンバルは、当時の父との生活を振り返り、「精神的拷問を耐え抜く」といった言葉さえ口にしたそう。
マスクの母は既にこの父とは離婚しており、インタビューでもマスクの父については口をつぐんだ。
(→マスクのお母さんは現役モデル!)
この本の著者はマスクの父にメールでマスクのことについて尋ねると、CCにマスクを入れて「マスクは私の誇り」と返信してきたそう。
メールに気付いたマスクは、父とはもう連絡を取らないで欲しいと著者に注文をつけている。
マスクは自分の子どもたちも父に会わせないと決めている。
「正確に言えば、まっとうな子供時代じゃなかったということ。いいことがまったくなかったわけではないが、幸せではなかった。惨めというのかな。父は、人の人生を惨めにする特技の持ち主。それは確か。どんないい状況でも、ダメにしてしまう。幸せな男ではないね。まあ、どうやったらあんな人間になれるのやら。あまりに厄介なので、申し訳ないが、これ以上は話せない」
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
マスクの性格は、父の育て方に大きく影響を受けてるような気がする。
マスクの知ったかぶりで対立的な言動や自己中心的な性格は、常に周囲との深い溝を生み出していた。自分の言動を意識的に抑えようと努力はしていたが、それでも投資家や経験豊富な役員を相手に言い負かすことも少なくなかった。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
マスクの父は42歳年下の義理の娘との間に赤ちゃんを授かったが、他の子どもたちは「頭がおかしい」とこき下ろしている。
合理的で情には流されないブレない人間
「あの子は、まず自分の目指すものがあって、そのためには何を勉強すべきかというふうに考えるんです。」
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
母親がこう語るように、なぜ学ぶのか理解できないものは勉強しなかったという。
そのため学校で飛び抜けて成績優秀というわけではなかったそうだが、驚異的な記憶力の持ち主で、何かに熱中し始めると、誰よりも深くのめり込んだという。
この本に何度も出てくるマスクの右腕と言われた女性秘書は、10年以上に渡って休みなく働いてマスクを支えた。
仕事はかなりできたようでマスクに昇給を頼むも、「2~3週間休んでほしい。その間考える」と休みを与えるマスク。
休み明けに出勤した女性秘書はクビを言い渡される。
女性秘書が休んだ間にマスクは彼女の仕事を自分でやってみて、どれくらい大変か吟味した結果のことだという。
(ちなみに女性秘書とマスクの元妻との間に衝突があり、これが根本原因という声もある)
マスクのこのような冷酷なエピソードは、この本にたくさんある。
マスクの元で働く社員たちがどんなに結果を出そうが、マスクに尽くそうが関係ない。
マスクがいらないと思えばクビを切る。
「経営者以外の誰もが会社の宝だと思っていた優秀なエンジニアが、身に覚えのないことで責められて仕事場を追われたり、ばっさりクビになったりしています」
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
社員のみならず、「自分の目指すもの」を邪魔する人間は徹底的にとっちめる。
そのためマスクを憎んでいる人間は多い。
つい最近も昇進できなかった社員による妨害工作があったと社員にメールを送ったマスク。
マスクがやろうとしているコストを下げたロケットや地球に優しい電気自動車の開発は、既にある業界に多くの敵を作っている。
テスラの株を大量に空売りしている機関など、マスクの周りは敵だらけの状態だ。
何よりもまず自ら経営する企業が掲げる信念こそを大事にしている。そしてあらゆる現実的な手段を使って自らの信条を追求する。資本家の獰猛さを持った冷酷無慈悲な実業家然とした言動は、共和党員も真っ青だ。ロッキードの工場労働者の雇用を守りたい議員や自動車ディーラー系のロビー活動を支援する議員は、マスクと対立関係にある。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
たった10数年でテスラの時価総額は世界の自動車メーカーランキング第6位まで踊り出るのだから、いくらテスラが厳しい状況であろうとも、他のメーカーにしてみたら大きな脅威には変わりない。
「私に消えてほしいと思っている人は日々増えている。そのうちロシアの手先に暗殺されるのではないかと家族は心配している」
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
全ては「クリーンエネルギー技術の改良、人類の活動領域を拡大するための宇宙船開発」のため。
イーロンは本気でそう思い、行動しているのだ。
マスク教
スペースXのあらゆる取り組みを見ていると、マスクの異常なこだわりや熱意がそのまま投影されている。スペースXは、いわば「マスク教」そのものなのである。社員はマスクを畏れ、崇拝している。マスクに人生も捧げている。うるさ型の厳しい経営スタイルは、とてつもなく大きな夢を語るからこそ成り立つ。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
【スペースX】世界最大ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功!ロケットが回収される光景が凄い!!
→ この動画を見ると、ガンダムに出てくるコロニーのようなものがいつか完成するのではないかと思わず期待してしまう。
「人類の救済が必要だ」というマスクの信念は、その気になれば誰からも支持されたはずだが、マスクは国内の目の前のニーズに取り組むよりも、ほぼ一貫して人類全体に目を向けていた。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
「国」単位でなく、マスクの思考は「地球」単位。
「人類の救済が必要」って、 まるで神のような発想。
→ちなみにマスクの顔が「神の顔」に激似という研究結果もあるらしい(笑)
テスラやスペースXに限らず、マスクが手掛ける企業は常に順風満帆の状態とは言えない。
テスラには不測のリコールが襲い掛かる可能性はあるし、スペースXに関して言えば有人ロケットが爆発するリスクは常についてまわる。
マスクの手がける仕事は、常にこうした大きなリスクと背中合わせである。それでもマスクはリスクを取る。ほとんどの人々が大切にするものを捨ててでも、リスクを取って生きるのであろう。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)
それでも今まで数々のピンチを切り抜けてきたマスク。
果してマスクの最終的な野望は叶うのだろうか?
もしマスクの野望が叶えば、人類の歴史は間違いなく大きく変わる。
今の時代に生きている私たちは、その転換期にいるのかもしれない。
マスクの究極のゴールは、人類を国際人ならぬ「惑星間人」にすることにある。つまり地球にとどまらず惑星をまたにかけて活躍する種に進化させたいのだ。
(引用イーロン・マスク 未来を創る男)