完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)を読んだ。
この本はオードリーの若林さんのエッセイなのだけど、かなりおもしろい。
今年読んだ本の中でもベスト3に入るくらいよかった。
「社会人大学人見知り学部」というタイトルにもセンスを感じるけど、自分の感情を表現する文章力と構成力はかなりのものだ。
性格は形状記憶合金のようなもの
「自分を変える本」を読んだ後は、意識しているから三日ぐらいはその形になるが、日常に晒され続けるとすぐ元の自分の形に戻る。性格とは形状記憶合金のようなもので元々の形は変わらない。それに気付いたことが「自分を変える」本を読んだぼくの収穫だった。
本一冊読んだからといって人格が変わるほど甘くはないよと。
本は本気で何かをしたい人にとって杖やビート板のような役割をするようなことはあるけど、本だけの力で人間を変えることはできないと思うと書かれてあって、本当にその通りだと思った。
20代の頃、自己啓発系の本をいくつか読んだけど、結局自分の性格は変わらなかった。
若林さんの「性格とは形状記憶合金のようなもの」という表現は的確。
本来持っている性格は変えられないけど、「環境」「人間関係」「時間の使い方」を変える方が意外と簡単。
性格を変えようと思うより、自分の良いところと悪いところを受け入れた上で、外的要因を自分に合うように変えて生きる方が生きやすい。
関連記事
没頭する
これまでぼくは起きもしないことを想像して恐怖し、目の前の楽しさや没頭を疎かにしてきたのではないか?深夜、部屋の隅で悩んでいる過去の自分に言ってやりたい。そのネガティブの穴の底に答えがあると思ってんだろうけど、二十年調査した結果、それただの穴だよ。地上に出て没頭しなさい。
ネガティブを潰すのはポジティブではなく没頭だという若林さん。
没頭ノートを作ってネガティブモンスターに捕まりそうになったらノートに書いてあることをやるそうだ。
これいい発想だね。
私の場合は「掃除」「猫と遊ぶ」「パズルゲーム」「ヨガ」「旅行」かな。
とりあえず体を動かしとこうって感じ。
意味がないからこそ楽しむ
「いいかい。この世に存在する理由には二つあって。一つは何かをしているから存在していいということ。例えば、会社にいてちゃんと働いているからその会社に居ていいって思えるみたいなこと。二つ目は生まれてきたら、なんの理由も無くこの世界に存在していいということ。リストラされたりして自殺しちゃったりする人は一つ目の理由が全てだと勘違いしている。」(中略)何かをしているのに意味が無いのではなくて、意味が無いからこそ"せっかく”だから楽しいことをするのだ。ぼくはいままで、一つ目の理由を増強しようとして、それに追いつかない。ぼくに必要だったのは、二つ目の理由をもっと感じることだったのだ。
どちらかというと、世間は一つ目の理由を煽るような生き方を推奨しているように思うのだけど、生きることに意義や意味を求めすぎるのは危険だと思う。
関連記事
若林さんのエッセーが新しく出るみたいなので、そちらもぜひ読んでみたい。