【書評】新庄剛志さんの『わいたこら』

真っ白な歯と日に焼けた肌に『わいたこら』の文字。

この表紙インパクトあるよな~。

『わいたこら』の意味はわからないけど、新庄剛志という人に興味があったので読むことにした。

これ、『わいたこら』というタイトルでなければ買わなかったかもしれない。

(『SHINJOが教えるポジティブシンキング』とかだったら絶対買わなかった)

『わいたこら』とは九州弁で、驚いたり、呆れたりしたときに口にするビックリマークのような言葉だそう。

新庄というと、私は長年のカープファンなので阪神のイメージが大きい。

阪神に在籍した後はメジャー、日本ハムへ移籍し、日本ハムを日本一にした後、引退。

私は新庄選手のファンというわけではなかったけど、信頼した人に裏切られ今まで稼いだお金を使い込まれてバリへ移住したというニュースは目にしていたので、その後の彼の人生には興味があった。

普通の人が乗ったら死んじゃうくらいの、安全ベルトも停止装置もない、ジェットコースターのような僕の人生。

(引用  わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

この本の内容を的確に表現した一文。

なんというか、よく死なずに生きてこれたもんだ。

私は読んだだけで疲れてしまったけど、実際にこの人生を歩んでいる彼のバイタリティは、(大袈裟でもなんでもなく)軽く私の100万倍は超えている。

激しい気性の両親を持ち、超貧乏だった子供時代。

生まれ持った身体能力に人の何倍も努力して手に入れたスター選手の地位。

アメリカの良いところも悪いところも全て味わったメジャーの生活。

そして引退後は信頼していた人に20億も使い込まれたことが発覚。

現在はバリで穏やかに楽しく生活されているようだけど、そこに行き着くまでのアップダウンの激しさは凄まじい。

しかも新庄さんは今までに指の大怪我に8回の交通事故にもあっている。

トラックにひかれて、荷台の下敷きになったこともある。接触してから、自転車ごとずるずると荷台に引きずり込まれる間、とんでもなくスローモーションだったのを覚えている。

これで命を落としていないんだから、僕は、相当の強運を持っているとしか言いようがない。

8回事故にあって、しかも全部の事故で必ず頭を打っている。プロ野球選手になってから身体検査で頭のレントゲンを撮ってもらったとき、「頭に影がありますね」と言われたことがある。怖すぎて、詳しい説明は覚えていないけど、交通事故の影響だと考えている。自分では、きっと交通事故で頭を打ったせいで、人と違う考え方をする「宇宙人」になったんじゃないかと思っている。

(引用  わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

ご本人も言っているように、相当の強運の持ち主。

この本にはポジティブに生きてきた考え方も書いてあるのだけど、これは万人に通用するものではない。

だって、新庄剛志を創った土壌がそもそも特殊で、生まれ持った身体能力然り、8回もの交通事故にあいながら生き延びた強運を持った人間なんて、それこそ奇跡。

その上、きちんと計算して、人の見えないところでたくさん努力して、反骨精神の塊のような人がスターにならない訳がない。

自己分析に長けている

僕がプロ野球の世界で成功できたのは、「自分が得意なことは何か」「自分が他の人よりも優れているところは何か」を考えに考えて、そこに集中して、人一倍の努力を続けたから。

(引用  わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

頭がいい。

できないことはやらない

何度でも繰り返すけど、できないことはやらない。できることに集中する。できないことは、笑いに変えてしまえばいい。

(引用  わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

 めっちゃ効率いい。

これから

興味があるのは、お金持ちのリッチな生活をすることじゃなくて、お金を稼ぐまでのサクセスストーリーだ。20億失った男が、むちゃくちゃ楽しいことをしながら、自分の力で20億円取り戻すーー。そういうストーリーはワクワクするし、燃える。

 (引用  わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

新庄さんなら、矢沢の永ちゃんのようにできてしまいそう。

もう少し努力してもよかったな

sports.yahoo.co.jp

阪神の元監督、野村さんは、もっとアタマを使う習慣があったら長嶋さんも超える最強の選手になっていたかもしれないと語っている。

(「いったい今、どこで何をやってるのか。」と心配はしてるみたいですね)

 

『宇宙人』と称された天才新庄剛志の人生は、想像以上に凄まじかった。