【書評】最高の体調

 

最高の体調 ACTIVE HEALTHを読んだ。

最近ゲームばかりやっているので、本を読む時間が激減しているのだけど、久しぶりにAmazonをチェックしたら、読みたかった「最高の体調」がプライム読み放題になっていたので早速読んでみることにした。

現代は不安の時代

2013年にワシントン大学が44カ国のデータをまとめたメタ分析によれば、不安障害を患う人の数は全世界で13人に1人もの割合に達するとのこと。人生のどこかで不安障害に苦しんだ人の数までカウントすれば、発症率は3人に1人まではね上がります。

(引用 最高の体調 ACTIVE HEALTH) 

仕事、体調、金銭的な問題などの「不安」は原因がバラバラのように見えても、一つの共通項がある。

それは「未来の遠さ」だそう。

人類は農耕の出現によって生活が一変する。

その日暮らしだった狩猟採集生活とは違い、定期的に食料が入ることで飢えに悩む可能性は激減したが、農耕がもたらした変化の中で現代人への影響が大きいのが「時間感覚の変化」

人類の遺伝子には「遠い未来」に対応するシステムが備わっておらず、「不安」という短期用のプログラムを駆使しながら、どうにかやりくりしていくしかありません。天体の運行をもとに時計やカレンダーを編み出したのも、システムの不備を補うための発明だったのでしょう。

(引用 最高の体調 ACTIVE HEALTH) 

現代人である私たちは、古代と違って未来の感覚が遠くなったため、先の見えない不安が生まれるんだそう。

ぼんやりした不安を解消するには?

この本によると、現代人は「未来を今に近づける」ことによりぼんやりした不安を解消しようとある。

ここでいう「未来」とは実際の時間の流れを意味しているのではなく、未来と現在の自分の心理的な距離を示している。

未来の自分にどれだけリアリティを生み出せるか、そのためにどのような戦略を持つか。

ちなみに未来との心理的距離が近い人ほど不安に強く、セルフコントロール能力も高いそう。

価値観の多様化が未来をぼんやりとさせる

狩猟採集民の人生の目的はシンプルで、「生きる産む育てる」の3つ。

ところがライフサイクルが複雑化した現代では、ネットやテレビ、雑誌や本、SNSや身近な人間などから、ありとあらゆるライフスタイルや価値観が提示され続ける。

選択肢が多すぎて、そりゃ頭もパニック起こすし、不安障害にもなるって。

人生のあらゆる面を「遊び化」する

人類学の世界では、狩猟採集社会には「重労働」や「苦役」といった概念が存在しないことが昔から知られていました。日々の狩りや移動生活のハードワークを、彼らは負担だと考えていないようなのです。その代わり、野生の動物や植物を狩り、獲物に応じた料理法を工夫し、移動先で見つけた材木で住居を作る。これらの作業は、彼らにとってあくまでも歌や踊りに似た娯楽の一部であり、すべてはRPGやシューティングゲームで遊ぶような感覚として体験されます。狩猟採集社会では「遊び」をことのほか重視しており、幼少期から徹底的に「ゲーム感覚」が叩き込まれます。

(引用 最高の体調 ACTIVE HEALTH) 

狩猟採集民にとっての遊びと生活はイコール。

遊びのために生きるのではなく、生きることそのものが遊びなのだそう。

ただ狩猟採集民の世界は現代と違い、「遊び」のルールがシンプル。

しかも狩りに出れば獲物が手に入るかどうかはすぐわかり、武器や住居などは現代と違い早く作って性能を試すことができたので、自分が立てた仮説の妥当性はすぐ検証でき、モチベーションも維持されやすかった。(フィードバックの即時性)

現代の先進国では生きていく上でたくさんのルールや時間を要することに溢れているので、なかなか生きることそのものを遊びにするのは難しい。

では、狩猟採集民から現代の私たちが今の暮らしに応用できることは何だろう?

ルール化することで「いまここ」に集中する

時間を区切るにせよ作業を分けるにせよ、いずれも未来と現在との心理的な距離を縮める効果を持ち、そこにはジョー・シンプソンが下山中に体験したような「いまここ」の感覚が生まれます。すなわちルール化とは、自分をマインドフルネスに導く道のひとつでもあるのです。

(引用 最高の体調 ACTIVE HEALTH) 

ルール化することで、未来を細かく刻み現在との心理的距離が近づく。

 

www.writetoforget.com

アリストテレス様も、「将来の目的や計画をいったん忘れ、今この瞬間のやりたいこと、やるべきことに熱中せよ」とおっしゃっているものね。

他には、人の認知リソースは大勢の友人をさばくようにはできていないとか、偽物の自然(自然音や自然画像)にもリラックス効果があるというのも興味深かった。

この本を読んで、寝る前は夜の海の音を聴こうとYouTubeをつけるのだけど、ついついハライチとか有吉さんとかバナナマンのラジオ動画に替えてそのまま寝てしまうダメな私。

先の見えない不安が農耕から始まったとは知らなかったけど、狩猟採集民のように「生きることそのものが遊び」とかっこよく言ってみたい。