【書評】BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

青砥 瑞人さんのBRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とはを読んだ。

この本良かったので、気になるところを備忘録としてまとめておく。

苦痛をたしなむ

何かを成し遂げようと努力しているとき、苦しい状態や精神的な苦痛を味わうフェーズがある。

そのフェーズに耐えるエネルギーがドーパミンの役割。

その後達成した際に満足を感じる「快」もドーパミンのおかげ。

願望とは成し遂げていないことを脳内でつくり出す作業で、そのためにも脳や身体で快の反応をもたらす想像力と妄想力が必要になってくるそう。

(これは高等な脳の情報処理の一つ)

どうしても挑戦したいこと、やり遂げたいことに関しては、苦痛を感じたときはむしろラッキーな状態と俯瞰視し、耐えることを楽しんでみる。そうすれば、高いパフォーマンスを出しやすくなるかもしれない。

(引用 BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

ただし追い込むことには注意点があり、他人は追い込んではいけない。

このメカニズムは自分で決めて自分でやるからこそモチベーションが高まるそうだ。

意識的にできた部分を見る

人間の脳にはエラーを判定するための脳機能は存在するが、できたところを無意識に探ろうという機能は備わっていない。

だからこそ意識的に探っていかないと、できた部分の情報処理はできないそうだ。

(人は基本的に粗探しのほうが得意)

できた部分にも注意を向けられるのは、それだけ高等な脳の使い方をしていると言える。「できない部分を見る」のは無意識でもできる。だから、意識的にできた部分を見ることが重要だ。不足した部分からの学びもあるが、満たした部分から得られる学びも大きい。

(引用 BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

マインドワンダリングを活用

アップルウォッチを買ってから、何となく始めた呼吸瞑想。

瞑想というと何だかスピリチュアルな感じがして敬遠していたのだけど、いろいろ調べてみると脳や自律神経にも良いとわかって毎日やるようになった。

今は瞑想アプリ「メディトピア」を使用して日夜訓練している。

やったことがある人は分かると思うが、瞑想しているとどうしても様々な雑念が頭の中を通り過ぎる。

呼吸に集中できていないこの状態は「マインドワンダリング状態」で、デフォルトモード・ネットワークが活性化している状態なのだそう。

(デフォルトモード・ネットワークとは、脳は覚醒しているが休息状態にあり、外側の世界でなく自分の内側にある世界に注意を向けた状態)

青砥さんは、このマインドワンダリングは決して脳や能力の欠陥ではなく、それを活かそうというする意識が重要だと言っている。

自然現象と面白がってからもとの目的である呼吸に戻るくらいのスタンスがいいだろうと。

デフォルトモード・ネットワークで処理している内容は、ほとんどが他愛もないものでクリエイティブではない。しかし、自己の内側で起こるデフォルトモード・ネットワークと対話できるようになると、クリエイティビティを刺激したいときに自らこのモードを誘導できるようになる。呼吸法を通じて他愛もないマインドワンダリングを内省することは、クリエイティビティの足がかりとなる可能性がある。

(引用 BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは

 

あとは脳とコンピュータの違いの図も面白かった。

人間の脳と人工知能はまったく異質なものであり、そもそも生成基本物質も異なる。

人間の脳の特徴であり強みは、学習のあり方の曖昧性や不確実性である。学習した内容の処理も曖昧で不確実であり、内外の干渉を大きく受ける。そして、なまものである脳の持つ曖昧性、非再現性、近似的認識、多面的変化、内外干渉という「揺らぐ情報と情報処理」がクリエイティビティを発揮する一助になっている可能性が高い。

 (引用 BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは