【書評】図解 眠れなくなるほど面白い社会心理学

眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学を読んだ。

気になるところをまとめておく。

集団の対立は交流では解消しない

泥棒洞窟実験によってわかったのは、集団間の葛藤は集団同士の接触では解消されず、各集団が協力しなければ解決できない「上位目標」を与えることが効果的。

意図しない差別

意図しない差別が起こるのは、人が偏見を持ち、そこからさまざまなプロセスを踏むことで偏見が強化され差別へと変わる。

さらに、偏見や差別の意識がなくても利益の追求などによって、結果的に軽視のような差別行為が意図せず起こることもある。

人は必ずしも合理的な判断をしない

おとり効果の実験によってわかったのは、人は常に合理的な判断をしているわけではなく、物事を相対的に判断することもある。

(比較対象のおとりがあると、それと比べて判断する)

人が高校野球に熱中するのはなぜか

社会的アイデンティティには、男性女性といった性別や国籍なども含まれ、その集団が評価されることにより、所属している自分の自尊心が満たされる。

(性別、国籍、会社、出身地などなど)

集団によるジェノサイド

人は自分の所属する集団(内集団)以外の人の集まり(外集団)を差別したり、迫害したりという状況に陥ることがある。

内集団の人たちと外集団の人たちとでは接する距離と時間が違うため、認知に差が出るため。

内集団の人間は「個人」として見分けがつくが、外集団の人に対しては「集団の一員」という認識しか持てないため、人は内集団の方が優れていると思いたがる傾向が出る。

資源が枯渇するなど危機的状況に社会が陥ると、集団として見ていない外集団の人たちを「悪者」や「役立たず」という差別的な目で見るようになる。

(内集団と外集団の関係は、狩猟採集時代にまで遡る)

 

これらの知識があると、歴史や社会情勢を見る時に一歩引いて見ることができる。